皆様は「FIRE」という言葉はご存じですか。
FIREとは「経済的自由を達成し、かつ早期退職を目指す。」ことと言われています。不労所得があり、その収入で会社勤めから解放されるということです。
つまり「FIRE」という言葉は、定年退職を待たずに経済的基盤を作り会社から解放されることを言っているようです。
かつての日本では、会社に就職し、定年退職時まで勤めあげれば、公的年金や企業年金で退職後は悠々自適に生活できた人も大勢いたはずです。
定年まで勤めあげ悠々自適な生活が実現することも「FIRE」と言えるかもしれません。
しかしながら「FIRE」とは、定年退職前に経済的基盤を作り会社から解放され、長期間悠々自適に生活することに意味があると主張する方もいるかもしれません。
日本の経済状況や高齢社会の現況を考えると、定年退職まで勤め上げたとしても年金などで悠々自適な生活は望めそうもありません。
日本人の寿命は延び続け、人生100年と言われ年金だけでは2000万円+アルファーのお金が足らないなどといった試算もあります。
人生100年ですから65歳で定年を迎えても、残りに人生は35年もあります。まして60歳あるいは50歳で会社を辞めてしまったら、その後40,50年も生きていかなければなりません。もしかしたらお金も5千万,いや1億円あっても足らないかもしれません。
また、人によっては、次のような悩みを持っている方がいます。
68歳の方の相談
お金に困っていない68歳の独身男性から相談がありました。
この方は将来を心配されてだと思うのですが、「成年後見人について聞きたい。」と尋ねてきました。
そして次のようなことを話してくれました。
①お金の心配はしていない。60歳でいったん退職し、その後も65歳まで働いていましたので退職金や年金で経済的には十分やっていける。
②妻も子もなく両親は亡くなり、持家に一人暮らしなので、いつも寝転んでテレビを見ている。時々昼間からお酒を飲むようになってしまった。
③会社に行っていたころは、会社の同僚とゴルフなどを楽しんでいたけれど、今は友人と会うのも億劫になってしまった。ゴルフなんて滅相もない。
④外出は自動車を利用しているが、食料品とお酒の購入がほとんだ。
この方の話を聞いてみると、やる気や生甲斐のようなものは全く感じられず、初期の鬱病ではないかと感じました。
この方も経済的にも会社からも解放されていますので、68歳にして「FIRE」を達成したといてよいのかもしれません。
年金をもらえる65歳になってもお金で困っている方は大勢います。その方たちから見れば幸せなのかもしれませんが・・・
この例を見ると財産的基盤を早くに築くために懸命に働き、50歳代で「FIRE」を達成したとしても、仕事を辞め趣味も持たずという状態では、病気になってしまいます。
この方には「成年後見人」のことを考えるより、まだ65歳、健康な体を保つためにも生きがいを感じられるものを持つこと、趣味でも仕事でも何でもよいから外に出る、人と会うことをすべきだと助言しました。
ただし、「成年後見人のことを考えている」ということは将来を案じているとも考えられ、人生をあきらめているわけではなさそうです。
「FIRE」とは、年齢には関係なく、自分のやりたいことをするためにお金や仕事に縛られないことと私は思っています。
また、「FIRE」とは、経済的自由とともに「生きがい」をもって生きていると感じていることであると思います。
「FIRE」達成のために
①「FIRE」達成後に何をしたいのか、漠然とした夢(計画)を持つこと。
単に仕事から逃げたいなどで、会社を辞めてしまってはいけません。「FIRE」達成後の幸せな人生を計画する。
②いつごろまでに「FIRE」を達成したいのか。
「FIRE」達成のための目標金額と時期を決めてください。①を実行するために、年間どのくらいの不労所得がいるのかを計画する。
③経済的基盤をどのように作るか。
貯金
貯金だけでは「FIRE」は難しいので、厚生年金等との合わせ技で60歳又は65歳で達成可能です。堅実ですが会社を辞めることはできないかもしれません。
投資
やはり長期の計画が必要です。配当金などに年金などを組み合わせれば、早期の実現が可能です。米国株などは配当金の率が良いのでお勧めです。
株は国からも推奨されています。NISAなどもより使いやすく変更されるようです。
株にはキャピタルゲイン(売買による収益)や信用取引などもあります。ただしリスクもありますよ。
年金
会社に定年まで勤めれば、「FIRE」は可能ですが。最近の年金事情を考えると、細々と生活するしかないのでは・・・
年金には、厚生年金の他、国民年金、企業年金、イデコ、個人年金などがあります。
これらを組み合わせて「FIRE」を達成しましょう。
事業
最も「FIRE」を早期に実現できるかもしれません。
事業には大きな損失を背負うことになるかもしれません。リスクをしっかり考えて行うことです。
ただし、事業を行うことは、そのものが「FIRE」となるかもしてません。その事業が一生続けられ、生きがいを感じられる事業であり、経済的安定していれば、それこそが「FIRE」かもしれません。
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