新型コロナが流行して3年程ですが、従業員が新型コロナに感染したとする相談が多くなりました。
医療費は国が負担してくれますが、休んだ期間の未支給の給与について従業員に対する補助はないかとの相談です。
傷病手当金の「支給申請書」を送付して、支給要件やその手続きについて説明をするなどのサポートをしました。休んだ期間が短期間ですので、支給額は多くないのですが無事支給されました。
また、医療法人からの問い合わせで、看護師が数人新型コロナで休んだが「労災は適用になるか」といった問い合わせもありました。
労災の申請書等を送付して、その手続きをサポートした結果、仕事上の病気と認定され労災による手当がもらえたと報告がありました。
この医療法人は「医師国保」に加入していたため傷病手当金の申請ができず、労災申請になったものです。(手続きは厄介ですが、若干労災のほうが支給額が多いです。)
健康保険(国民健康保険を含む)について
厚生労働省のデータでは、1人当たりの生涯医療費は約2800万円、そのうち70歳以上の生涯医療費は1400万円とされています。
皆さんは健康保険に加入していますので、上記の金額の1割から3割が自己負担になります。ただし、入院中の食事代や差額ベット代などは保険適用外なので、全額自己負担となります。
高額療養費制度
健康保険は「高額療養費制度」が利用できます。
これは、月ごとの自己負担分の医療費が、所得等により算定される金額(上限)を超えた場合、その超えた全額が払い戻される制度です。
高額療養費の上限額は、70歳以上の方と69歳以下の方で分けられています。
参考例1
・70歳以上の方で年収156万~370万円 上限額:57,600円
・ 〃 住民税非課税世帯 上限額:24,600円
・ 〃 〃 年金80万円以下 上限額:15,000円
参考例2
・69歳以下の方で 年収370万円以下 上限額:57,600円
・ 〃 住民税非課税者 上限額:35,400円
以上、収入によって高額療養費の上限額等が変わります。
なお、年収360万円以上の場合等は、健康保険組合などのHPで確認してください。
その他、高額療養費の適用が12カ月以内に3回以上あると4回目から上限が下ったりしますよ。
医療費控除について
控除対象外の先進医療などを受けて一定額を超えて高額になった場合、所得税の医療費控除が受けられます。控除の上限は1人200万円です。
大きな手術などにより医療費が200万円を超えた場合、医療費控除額を夫と妻とに分けて申告することも可能です。
傷病手当金について
傷病手当金とは、病気やケガの療養で仕事を休んだ場合に支給されるものです。
上記の高額療養費で説明した「健康保険」には、「国民健康保険」も含んで説明しましたが、今回説明する傷病手当金に関する「健康保険」には、「国民健康保険」(個人事業主などが加入)は含ませませんので留意してください。
いわゆる会社員などに適用される社会保険としての「健康保険」と覚えてください。
そのほかに「医師国保」や「土建国保」と呼ばれるものも「国民健康保険」ですので、以下の説明の対象ではありません。
1 支給要件
①業務災害以外の病気やケガの療養のため働くことができないこと。※1
②4日以上仕事を休んでいること。※2
2 支給期間
・支給を始めた日から最長1年6ヵ月。※3
3 直近12ヶ月間の平均月収の3分の2。
※1 業務災害の場合は、労災が適用になります。
※2 待機期間として3日間は支給されません。
※3 1年6月を経過した後は、厚生年金から障害年金が支給されることがあります。