年金の繰り上げ受給

 繰り上げとは、原則65歳から受給となる国民年金や厚生年金を前倒しで受給すること。 月単位で最大60歳まで繰り上げ可能です。

 令和4年の年金改正があったのは減額率。

 1ヵ月繰り上げるごとに0.4%減額(改正前は0.5%減)と緩和されます。つまり、60歳からもらうと24%減(改正前は30%減)が一生涯続くのです。

年金の繰り下げ受給

 繰り下げとは、65歳からもらうべき年金を65歳後に貰うことです。

 1か月繰り下げると0.7%の増額、70歳まで繰り下げると42%の増額になります。

 

 年金を繰り上げるのか、繰り下げるのかは、その人の状況(資産や収入など)によっても変わります。

 さらに、特別支給の厚生年金があったり、在職老齢年金の支給停止など、どちらが良いかは人によって選択肢は様々です。慎重な検討が必要です。

 

 (事例1)

 知人の公務員ですが、60歳で退職し年金を繰り上げ受給しました。

 本人が言うには、国は信用できない、年金は早く貰わないともらえなくなってしまうかもしれないとのことで共済年金、基礎年金とも60歳からもらいました。公務員は辞めてもパート等で働き口はいくらでもあるのだから、我慢して65歳から年金を貰えばとアドバイスしたのですが・・・

 彼(令和5年当時68歳の者)は、今でも仕事をして生計を立てており、貰っている年金等は貯金や投資をしているとのことです。ただし、年金は30%の減額、特別支給の共済年金は貰えずとなってしまいました。

(事例2)

 次に、70歳の方ですが、これまで年金加入期間が9年3ヵ月でした。

 70歳になったので会社を辞めようと考えていたのですが、年金がもらえないと聞いて相談に来ました。会社に話して、9ヵ月間継続雇用してもらい、厚生年金の任意継続をしてもらいました。

 年金は厚生年金と国民年金期間を併せてちょうど10年分が貰えるはずです。

(事例3)

 私の場合ですが、妻と私は65歳から共済年金と厚生年金を受給しています。ただし、基礎年金については2人とも70歳まで繰り下げるつもりでいます。(基礎年金だけ、あるいは厚生年金だけの繰り下げが可能です。)

 基礎年金については、2人で繰り下げしていますので、155万円の基礎年金がプラス42%増で220万円になる予定です。取らぬ狸の皮算用!

 夫婦2人とも共済年金及び厚生年金は、65歳からもらっています。

 

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