女性の方から年金分割について、相談がありました。

 夫とは性格の不一致で別れたいとの相談

 「夫とは結婚して20年ほどになるが別れた場合、夫の年金からどのくらいもらえるのか」といった質問でした。

 年金分割とは

 年金分割とは、離婚や別居などの場合において、夫婦の間で共同で築いた年金資産を公平に分割することを指します。一般的に、夫婦が離婚や別居をする場合、その間に共同で築いた財産や資産を分け合う必要があります。年金分割は、その中でも夫婦のうち一方または両方の年金資産を分割する手続きのことを指します。

 分割される年金は、婚姻期間中に厚生年金に加入していた期間の年金です。

 分割制度には次の2つあります。

(1)合意分割

 分割割合が夫婦間の話し合いで決められ、最大50%です。話し合いで合意が得られず審判になった場合、ほとんど50%の割合で判決等がおりるそうです。

(2)3号分割 

 平成20年4月1日以降に専業主婦(3号被保険者)または主夫だった場合に請求できます。この場合は双方の合意なしで50%に分割されます。

※3号被保険者とは、夫が厚生年金に加入し妻が専業主婦の場合、妻は3号被保険者(夫が主夫の場合は夫が3号被保険者)となります。

相談者のケース

 今回の相談者の場合、夫婦とも50代前半で結婚して20年余りです。

 夫は、国民年金に長く加入しており、5年ほど前に会社を立ち上げ代表取締役として厚生年金に加入しました。

 妻は国民年金に夫と一緒に加入していましたが、夫が厚生年金に加入した5年ほど前から3号被保険者となっています。

 相談者は、「夫の給与は100万円程とかなり額をもらっていたので、年金も相当の額がもらえる」と考えていたようです。

 厚生年金保険料の上限

 厚生年金保険料は給料によって保険料が決まりますが、それには上限があります。つまり給料を65万円以上貰っていたとしても65万円(標準報酬月額といいます。)の保険料率で保険料が計算されます。

 そのうえ夫は5年間しか厚生年金に加入していないのです。

 標準報酬月額65万円で5年間加入の厚生年金額は、およそ年間4万円×5年で20万円。

 相談者には「つまり離婚した場合、20万円の半額(10万円)が妻の年金にプラスされます」と伝えました。

 年間10万円? 月1万円にもならない・・

 相談者は離婚するのを見送ったみたいです。?

 

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