生活保護とはお金に困っている人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保証する制度です。
私は数年前までワンルームマンションの経営をしていました。
そして収入が少なく生活保護を希望しているが、住居がない又は住居から追い出されてしまうといった人達から相談を受けることがあります。生活保護は住居が決まっていなければなりませんので、この方たちに私が所有しているワンルームマンションを紹介し、同時に生活保護の申請をサポートしました。
何度か生活に困っている人と一緒に生活保護の窓口に行き、役所の担当者から様々な指導・助言を受けました。
また、生活保護担当の役所の方から、こういう人にワンルームマンションを貸してあげられないかと生活保護の希望者を紹介された事もありました。
そして、いつの間にか生活保護申請等に詳しなっていきました。
なお、2019年の調査では生活保護受給者は207万人、日本人口の60人に1人となっています
生活保護を受けるための要件
①収入が最低生活費に満たないこと
②原則として、持ち家や車などの資産がないこと
③原則として、年金や母子家庭の手当てを受けていないこと
④病気やケガなどで働けないこと
生活保護は世帯単位で行い、世帯員全体がその利用しうる資産・能力・その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提です。
なお、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。つまり親族等から援助を受けることができる場合は、その援助が生活保護法に優先します。
資産・能力などの活用とは
①資産とは・・預貯金生活に利用されていない土地、建物等があれば売却し生活費に充てる。
②能力とは・・働くことが可能な方は、働くことで収入を得て生活費に充てる。
③あらゆるものとは・・年金や様々な手当等をまず生活費に充てる。
生活保護の手続き
1 事前相談
お住まいの地域を管轄する福祉事務所などで事前に相談してください。
2 保護の申請
申請をすると下記の事項について調査が実施されます。
・生活状況等を把握するための実施調査(面談・家庭訪問等)
・預貯金、保険、不動産等の調査
・扶養義務者のによる援助等の可否の調査
・年金等の調査
・就労の可能性の調査
3 保護費の支給
申請に基づく調査により、生活保護が認められた場合に支給
支給される保護費
厚生労働大臣が定める基準で算出される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に支給されます。
保護費の種類は、次のとおりです。
①生活扶助(日常生活に必要な費用)
級地や年齢、家族構成によって複雑な計算をします。
例:30歳代の独身 3級地1の場合は、約70,000円です。
②住宅扶助(アパート等の家賃)
定められた範囲で実費が支給されます。市町村によって家賃の上限が定められていますので、各自治体等に確認してください。
③教育扶助
④医療扶助(本人負担なし。)
⑤出産扶助
⑥生業扶助
⑦葬祭扶助
年金と生活保護のダブル支給は
年金が少なく、生活が困難であれば生活保護と年金のダブルで受給できます。
ただし、高齢者で働いている方も多いので、年金受給者でも健康で働ける場合は働くことが求められます。また、子供や兄弟など、援助してもらえる人がいれば援助が優先されます。
母子家庭での生活保護
母子(父子)家庭の人は、生活保護を受ける前に母子寡婦福祉資金の利用を進められます。
ただし、生活保護との併用はできません。
なお、ひとり親世帯は、児童扶養手当などの手当金をもらいながら生活保護を受給することが可能です。
障害者と生活保護
生活保護は、病気の人や身体的な障害者、精神的な障害者なども利用できます。
最近はうつ病などの精神障害者も多くなっていますが、生活保護では障害者加算も受けられます。
なお、障害者が生活保護を受ける場合は、合わせて障害年金の受給も検討すべきです。厚生年金に加入していた方がうつ病などになった場合、生活保護の月額よりも高額な障害年金が支給される可能性もあります。この場合は生活保護は受けられません。
外国人と生活保護
永住権を得ている外国人であれば国際道義の観点から生活保護の対象になります。
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