不動産については、これまで「居住用不動産の購入・売却」「賃貸用不動産の購入」「賃貸事業」そして「賃貸用不動産の売却」の投稿で記したとおり、数多くの経験を有しております。

 また、不動産事業について、それぞれの不動産について、購入時の物件判断、賃貸事業、不動産の売却判断など、すべてうまくいったと自負しております。

 ただし、不動事業はそんな簡単なものではありません。「水が出なくなった。」「雨漏りがした。」「入居者が死亡した。」「空室が増えた。」「入居者からお金がないので貸してくれ。」などなど、大家は大変でした。すべての不動産を売却し終えた時は、本当に肩の荷が下りた思いでした。

不動産事業の心配ごと、そして対策

 不動産事業を始めるには、多額の資金が必要です。そのため購入した不動産を担保に多額の借入をせざるを得ません。買い時や売り時を間違えると大きな損失を被ることもあります。

 中でも次の3点については、その対策を十分検討しておく必要があります。

①売却価格で借入金を全額返済できるか。売却時に借入金が残っているようでは困りますが、これはあくまで運であると思います。

②空室発生への対応は十分か。

③地震や火事等での損害への対応。

 まず①の売却価格と借入金の関係ですが、不動産を購入するときには鉄筋コンクリート造等の長期間の事業に耐えられるものを購入すべきです。

 売却時期を購入後15年から20年に設定できることを前提にできればベターだと思います。 

売却は、借入金返済+アルファ―が目安

 売るときには購入価格の半値と考えて借入金を減らしたところで売却を考える等の計画を立てる必要があります。

 5,000万円で購入した不動産(借入金5,000万円)を、借入金2,500万円になったところで2,500万円以上で売却すればよいのです。

 私の考えでは、15年物の中古建物を5,000万円で購入し、15年後に2,500万円で売却可能と考えて実行してきました。

 そして考えが見事的中し、15年から20年賃貸収入したものを売却し、借入金返済後に1室ものでも50万円から300万円ほどの現金を手にし、1棟ものに至っては1000万円近くの現金を手にしました。

 ちなみに借入金は20年から30年返済のもので、購入価格よりも1~2割ほど上乗せして借りています。例えば5,000万円の建物の場合5,600万円借りるなど・・・

 そして借入金が半額になったころに売却を検討しています。半額になる前に売却したものもありますが・・・

 次に②の空き室対策です。

 賃貸収入については、入居者が一人ふたりと出ていき、その後の入居者が決まらないといった事態になることも多々あります。例えば月3万円の部屋で3室空きがあると月9万円が飛んでしまいます。

 賃貸事業については空き室が一番怖いのです。

 満室の賃貸収入の半額>借入金の返済額

 私は、所有ワンルームマンションをあわせると三十数部屋所有し、賃貸収入月平均120万円〈空室の平均3~4部屋)を得ていましたが、そのうち70万円ほどが借入金の原本と利子でした。

 こう書くと約50万円が儲けかと思われますが、そのうちの20数万円は経費等で飛んでゆきます。20数万円が収入でしょうか。

 満室なら130万円以上が見込めるのですが、空室は平均3~4部屋ありました。多い時には8部屋程の空室が発生しました。

 空室対策を回避する方法は難しいのですが、購入するときに自分で住んでみたいかなどを十分確認する必要がありますが、3分の1程度の空き室が出ることを覚悟して、その時借入金を返済できるかを考えておく必要があります。

 目安は満室の時の賃貸収入の半額が借入金の返済額よりも上回っていることです。

 これが下回るようでしたら売却等も考えなければなりません。

 通常、売却の時は不動産屋が頑張って満室にしてくれ、高値で売ることができるのですが、こうなってしまっては損失を覚悟するほかありません。

次に③についてですが、天災等には次の対策しかありません。

火災保険や、地震保険に加入

 火災には耐火構造の建物を購入し、火災保険に加入する。保険料は安くて済みます。

 地震には、地震保険ですが、建物が倒壊した場合は一部しか保証がないうえ、保険料も高額です。

 所有期間に大きな地震等がないことを祈るほかありません。

不動産投資には危険も

 よく広告などで「家賃収入を得て老後に備えよう」などとうたわれています。

 「少しの頭金でローンを組み、入居者の募集や管理も不動産会社が請け負ってくれるので、だれでも手軽に不動産事業が可能などと言われ、多額の借入金等を抱えるなど大きなリスクがあることを理解せずに安易に契約することのないよう注意が必要です。

 大きなことを言うと、不動産投資は日本の経済状況・不動産環境、そして購入者の資産状況、年齢等を十分留意して投資を考えねばなりません。

 ①不動産投資に適した環境か

 ②所有する資産状況・現在の仕事が安定しているかなど

 ③年齢(30歳代から40歳代がベター)中古マンションを購入し、15年ほどで売却することを検討しておくためです。新築マンションはリターンが少ないなどの理由から中古がベター

 不動産投資には様々なリスクがあることを理解してください。

 業者から「節税」や「老後の年金代わり」などと言われ、高額な物件を購入し、リターンが少なく老後の資金がなくなるようなことのないよう十分注意してください。

 

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